2006年12月16日

Binary 2.0 カンファレンス2006

前年同様、IIJの同じ会議室にて。神保町なので会社から近い。忘年会以来に会うという人も多い。何人かから『Binary Hacks』にサインをもらっておく。

定時になって主催の高林くんの司会で開始。会場は定員よりやや少なめか。高林くんのテンションがちょっと低く、あまり盛り上がらない。去年に比べてダレそうな予感をこのときに感じる。

トップバッターは佐藤さんの「Hello, binary world」。GCC拡張でmainを蹂躙しまくっていておもしろい。掲示板ネタはちょっとくどいように感じた(過ぎたるは及ばざるがごとし)。文字ポイント数や色調については、離れたところから見てどう感じるかを事前に考えてほしかったと思う。

続いて金田さんの「X日で作る仮想マシンモニタ(に向けて)」。AMD64の仮想化支援機構を使って仮想マシンモニタをどう作るか、コンテキストスイッチの仕組みなど。実装はSimNowというamd64シミュレータで行ったようだ。とりあえずHello Worldまではできたけど、I/O周りとかはまだまだという話。これは開発は続くのかな?プレゼン資料は凝っていた。デモは前の席でもまったく見えない…。

休憩明けに、田中さんの「getcontextの怪」。IA64でのRubyの挙動が奇妙(謎なところでSEGV)で、追っていったらgetcontext/setcontextとレジスタ周辺で問題があった、という。ほぼ同じようなsetjmp/longjmpでは問題が出ない。結局、類似のケースのSPARCの対処をもとにGCCにworkaroundな実装を入れてもらって、解決はしたらしい。実はsetjmp/longjmpではコンパイラにもともとworkaroundが入っていたというのがオチ?田中さん曰く「アセンブラが一番ポータブル」。マイクの入りが悪かったかスイッチが入っていないようだけど、後ろのほうや中継にはちゃんと聞こえていたんだろうか。

中村さんの「マルチコア時代の並列プログラミング」。マルチコアになるとスレッドをタイムスライスするより各コアがスレッドを保有することになり、mutexやspinなどではうまく対処できなくなるのではないか、そこでlock-free synchronizationはどうかという話。画面の棒読みが気になったけど、内容はなかなかおもしろかった。ただ、現在は理論の論文とテスト実装程度しかなく、採用の負担は大きいので、汎用ライブラリの実装がもっと進んでいくと興味深いかも。

休憩のあと、IIJからの人買いアナウンスがあって、LT(Lightning Talk)へ。トップバッターは八重樫さん。「tty hacks for PS3 Linux」といいつつ、Mesaライブラリによる3DぐるぐるとWiiリモコンを駆使したプレゼン。リモコンを振ると右に左に上に下にぐるぐると回転。これはやられた! Wiiリモコンでプレゼンはおもしろいなぁと、ちょっとだけBluetooth CardBusかUSBがほしくなった(Pythonのライブラリがあって、けっこう簡単にいじれるらしい)。あまりBinaryではないけどたいへんおもしろいプレゼンであった。プレゼンが6枚しかないというのはそういう意味か。

続いてサイボウズ竹迫さんの「Web 2.0時代のAjax Binary Hacks」。Ajaxのいろいろなクロスドメイン通信を取り上げつつ、これが究極だ¡と選んだのは…GIF画像のヘッダを使って通信しちゃえというテクニック。使えなさそうだがおもしろい。聞かせるテクニックでも今回のスピーカーで一番巧みだった。

鴨志田さんの「携帯Flashでバイナリ処理」。時間がちょっと足りなかったかな。ActionScriptの機能制約の中、データ構造と圧縮でやりくりしてというのは『珠玉のプログラミング』的な感じ。

新部さんの「GNU on Binary 10.0」。0か1かと言われたら「自由」であると。GPLv3とかRMS FUDとか危険なワードがプレゼン資料にあったがそれはまったく関係なく。GNU USBという単語が浮かんで、それから実装を開始したというファームウェアのお話。まだLEDがピコピコする程度だけど、「ここまでできればあとは簡単」らしいよ(本当か?)。今年はEと11をかけることに情熱を注がれるらしい。

野首さんの「ASCII 1.0」。2分30秒くらいはおもしろかったけど、GRAPHキー文字のデモはお腹いっぱい。時間をまったく無視なのでLT職人失格だろう。裏で行っていた福地さんのMSXサウンドエフェクトは、漏れ聞いた限りではPSG(Programmable Sound Generator)に適当にデータを流し込むプログラムを作って、そこにマイクから狙いすましたアナログデータを放り込むという、興味深いものだったのだが、紹介もなんもなかったので会場にはわからなかったと思う。もったいない。

前年同様、解散後のフォローは何もなさそうなので、町野さんと連れだって靖国通り交差点のイタメシ屋にて。案の定ほかの人々は路頭に彷徨っていたようだ。

――全体の感想としては、昨年に比べるとダレているというか、がっかり感が残るイベントになってしまっていた。1つひとつの技術はおもしろいのだけど、<自分を棚に上げるが>相手に聞かせようという配慮のステップまで至っていない話者が多かった。これはウケとかネタとかそういう問題ではなくて、とりあえずプレゼンを作ったけどどう話すかを考えていないとか、抑揚のない一本調子だとか、聴衆にどう見えるかをテストしてないとか、時間決めてリハーサルしてないとか、そういったことを改善するだけでだいぶよくなるんじゃないかと思う。

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