2008年06月16日

青少年ネット規制法にOSSとして何ができるか(1) 〜該当領域

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」(青少年ネット規制法)は参院全会一致で通ってしまったわけだが、フィルタリング義務に際しては、罰則なし・フィルタリングソフトについてはプリインストール義務ではなくインストール利用措置を講じると一応緩めにされてはいる。とはいえ、こういう緩めなのは行政指導などに進めてしまえばいかようにも強化できるわけで、楽観視はできないし、これが大衆の総意ということなのだろう。ちなみに、投票総数234で、自民、公明、民主、共産、社民が全部賛成、反対は川田龍平議員の1だけという結果だったようだ。

反対ばかり騒ぐのも建設的ではないし、需要はあることはわかっているので、OSS界ではどう対処したらよいかということについて考える必要があるだろう。

法案概要を見るに、 「『青少年有害情報』とはインターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報」なので、対象は今のところWebページのことであろうと思われる。

メールの場合、ポルノspamメールの文面や添付画像などをもって公衆の閲覧に供されているとは言い難いし、spamメールとポルノは切っても切れない縁ということもあり、こちらのほうのメールフィルタリングについてはOSSでもかなり対処、発達が進んでいると思う。P2Pで流れるデータは、公衆閲覧に供されていると言えると言えなくもないけど、利用者数は少ないし(OSSで使えるBittorrentあたりとWinnyとを国内で比較したら前者など無視できる数だろう)、携帯世界とは関係ないのでこちらも特に何かアクションが起きることはなさそうだ(Winny規制の口実にされる可能性はあるけど)。

さて、Webページという観点で見た場合、有害情報コンテンツ配布者については本人以外心配することではないし、不幸にしてその配布にかかわりかねない立場のISPでもないとして、関係する可能性のある立場としては、

  • 有害情報にアクセスすることも可能なWebブラウザを配布するディストリビュータ
  • 有害情報のアクセスの遮断を希望する未成年本人またはその親

ということになるだろうか。OSSのWebブラウザでDebianのデフォルト/準デフォルトなインストール物としては、Firefox(Debianでは互換のIceweasel)、Epiphany(GNOMEのブラウザ)、Konqueror(KDEのブラウザ)、w3m(テキストブラウザ)がある。

Firefoxで該当用途に合ったレーティング/フィルタリングできそうなものを探してみたのだが、日本語対応されたものは見当たらない。adblockはフィルタリング用途にできなくもないだろうが、リストがあるわけでもないので難しい。英語で探すとGlubble Family Editionというのがあるけれども、これはペアレンタルコントロールでURLフィルタリングではないように見える。Epiphanyはまだ調べていないけれど、Konquerorについてはadblockくらいしかないようだ。w3mは制限機能はない。

ということで今後の登場に期待が持てそうなのはFirefoxくらいで、ほかはちょっと不安な体制に思える。

対処の1つとしては、ブラウザのコンテンツの出入りにフィルタリングプロキシを使う方法がある。http_proxy環境変数を設定するくらいでよければわりと簡単にインストーラやパッケージで実装できそうだ(回避することもできるけど、回避されないようにする努力義務というのは特に定義されていない感じだし、回避を調べてがんばるような青少年なら見込みがあろう)。ということで、プロキシでのフィルタリングについては次の記事で書いてみる予定。