2009年09月03日

TeXユーザの集い2009 参加報告(2)

前半に引き続き。 土曜日ということもあって昼食をとれるようなまともな場所が近辺にないので、事前受け付けで有料のお弁当が提供された。町野さんを見つけて少しお話。その後、「Debian System」制作などでお世話になった三美印刷の本田さんにもお会いして、奥村先生交じえて雑談。今年は美文書の改訂サイクルとのことで期待大。オーム社の森田さんや、旧アスキー/Linux Japanの風穴さん(TwitterではTLで見ていても、実際にお会いするのはすごく久しぶり、Linux Conference以来?)にもお会いする。

午後最初は、「BIBTeXのスタイルファイルをカスタマイズするツールの開発について」大阪大学の萩平さん。 医学系論文執筆に際して大量の参考文献参照にBIBTeXを活用しているが、投稿規定のフォーマットに合わせるのに苦労したため、awkやシェルスクリプトを使って分解再構築を行うツールを作成した(10年前くらいだけど)。BIBTeXの管理機構自体あまりドキュメントがないので試行錯誤しながら解析し、その機能(author書式など)や制約(拡張変数が6つまでしか利用できない、すぐにバッファがオーバーするなど)がわかってきた。完成したツールでは、表記順序や、author数に応じた表現(et al.やカンマなど)を、パラメータで設定できる。
質疑では日本語対応について。日本語BIBTeXでは漢字英字処理や読みなどの日本語用の関数が増えているが、英日混じった状態でauthor名などの処理がうまくいくかは不明。isKanjiスイッチで分ける方法もありそうだけれども、スイッチが肥大化するとBIBTeXのバッファから溢れる恐れがある。

「Geometry 5.0 A more Flexible Interface to Page Dimensions」梅木さん。 geometryパッケージはページレイアウトを簡単に調整できるマクロで、TeXの黒魔術で面倒なマージンやボディサイズなどを、簡易(指定以外のところを補完して、適当に良きにはからってくれる)にも冗長(最大130くらいのオプション)にも設定できる。
2002年に「LaTeX Companion」に収録された際に、F.Mittlbachにいろいろと改良と美感覚(上下あるいは左右のマージンの基本ポリシーなど)の押し付けを受け、改良したものがバージョン3.0。以降、世界的に有名なパッケージとして質問や提案を多数受けることになるが個別対応はしていたものの、リリースとしては放置。2008年に腰を上げてドライバを改良してバージョン4.0をリリース、そして今回のTeXユーザの集いに合わせてさらに改良を重ねており、9月にはバージョン5.0をリリース予定。
Geometryバージョン5.0では、文書の途中でのページレイアウトの変更、ISO B4とJIS B4のサイズ違いの対応、奇数偶数でのページレイアウトの変更、印刷用紙とレイアウトの区別(トンボを打って大きい紙に出せる)、枠表示出力の改良といった機能向上が加わるとのこと。縦書き対応については微妙。新書サイズも入れていないが、寸法で指定すれば使えるだろう。

「koTeX and Korean TEX Society Past. Present, and Future」、特別ゲストのJin-Hwan Choさん。KTS(Korean TeX Society)メンバ。ハングルのTeXでの使用と、韓国国内におけるTeXグループの活動について説明(英語のみ)。
当初、韓国における主要TeXサイトの一方であるChoF's TEX Archiveを開設・保守。ユーザへのTeX(HLaTeX)導入手引きやオンライン議論・情報共有を目的としていた。もう一方にはKangsoo Kimの「LaTeX for Social Scientists」。こちらはその名のとおりの上級ユーザ向け。2001年に統合してKTUG(Korean TeX User Group)を結成。無料でメンバシップはなし。質問板、ニュース、Tips、FTP、CVSなどを提供。その後2007から有料のオフラインコミュニティを構成。現在100人超。定期ミーティングとカンファレンス、年2回のワークショップを開催。CD、DVD、USBメモリでTeXコレクションを配布。「The Asian Journal of TEX」というアジアの言語のTeX処理に関するジャーナルを、香港などのユーザとともに発行。
世界で最大のTeXコミュニティであるドイツのDante e.V.に比べると規模が小さい。Danteは高額な有料会員制度にもかかわらず2000人が参加。カンファレンスも韓国では100人程度だが、Danteは年2回開催で、500人を動員。メンバシップ料金についても悩ましい。若い参加者も入ってこない(40のChoさんが最年少)。ジャーナルの発行もペースを守っていけるか不安。
日本にpTeXがあるように、ハングル向けにはko.TeXがある。ko.TeX以前はKAISTのKorean TeX typesetting systemがあり、ハングルと漢字コードをプリプロセスする。ただMacintoshのPostscriptフォントを使うというグレーというよりも黒っぽい利用方法。1995年からhLaTeXp、1994年から2007年までHLaTeXの時代。英語版TeXには手を入れず、基本的なハングルタイプセッティング機能をサポートする。現在はdhucsというUTF-8サポートのTeXがhLaTeXとセットで使われている。フォントにはUn TrueTypeフォントを使用。
今後はLuaTeXへの期待が大きい。誰が作業できるか。フォントについてはOpenTypeがほしいが、ハングルのフリーで高品質のものがない(政府にも期待できない)。
(韓国でTeXを扱える出版社や印刷所の数を聞こうと思っていたのだけれども、懇親会に出なかったなどの理由で機会を持てなかった。またいずれ機会があれば。)

「化学分野の論文投稿・書籍出版とXΥMTEX」湘南情報数理化学研究所の藤田さん。化学式表現はなかなたいへんで、最初は定規とペンで描いた手書きの図を糊付けして印刷していたというありさま。構造式表現のためにXΥMTEXを開発した。
XΥM ML記法(数学のMathMLに近いもの。CMLは筋がよくないので採用しなかった)で記述することで、TeX EPSやJavaアプレットに変換できる。EPS部分はPSTricksを採用。XΥMの新しいバージョンではクサビ表現もできるようになり、品質が向上している。ステロイドの化学式のようなものも描画可能。
国内外の化学系論文審査システムではオンライン投稿を受け付けており、それに合わせて自身の作業スタイルを確立している。投稿時にはXΥMTeXを埋め込んだ状態で直接PDFを生成し、審査レビューを受けて入稿用にソースからXΥMTeX部分を切り出してEPS画像化し、ソースからインクルードするように手動で変換している。

「dvibrowser〜ピュアJava実装のDVIプレビューア」産業技術大学院の長尾さん。 DVIファイルを監視して更新に追従するTeXプレビューアというのはすでにあるけれども、Java Swingで機種依存性のないビューアを開発した。機能としては、タブ対応、日本語(横組のみ)サポート、非同期ページ読み込み、余白調整、自動リサイズ、簡易ファイラ、自動再読み込み、2400DPIで出力イメージを持っておいてのダウンサンプリング表示(より綺麗に見える)といったもの。Sourceforge上で開発されており、BSDライセンスを適用。EPS対応はまだ部分的。1.0.0を12月にリリース予定。
環境依存にしないように、更新については小さなhttpdを裏で動かしておいて更新メッセージのやり取りを行っている。機能はレイヤー化しているので、サーバでの運用も可能。Google Talkの中でTeXを使うデモ画面(回線の都合でキャプチャのみ)も披露された。今後はビルド支援機能の追加や、付箋やページ間リンク、ハイパーリンクといった目標がある。

「プレゼンテーション資料作成作業へのRule of Three適用支援」物質・材料研究機構光材料センターの轟さん。 プレゼン手法の1つであるRule of Three(重要な事項を3回繰り返して提示する)を作成者に強制化するための提案。マクロで定数を定義しておき、それを呼び出すことで繰り返しの入力のわずらわしさを防ぎ、またわかりやすくする。実装クラスにはseminar.clsとprosper.clsを使い、Rubyのスクリプトでmakeファイルやテンプレートの配備を行う。
Rule of Threeを実践することでプレゼン全体の見通しがよくなり、短い表現で記述する必要に迫られることで翻訳なども容易になる。配布資料もわかりやすくなる。東京理科大学の学生に教えているが、彼らが賞を取ってくるなどの実利的な効果もあった。
(プレゼン手法提案としてはよかったのかもしれないけれども、TeXの講演が並ぶ中での話としては少々退屈だったかな。)

「ptexliveの開発状況と今後」関西学院大学の土村さん。 LinuxのディストリビューションとTeXのディストリビューションというのは、コア+各種周辺があって収録配布方針がそれぞれ異なっていて全体が調和するよう努力が払われていて、使う=ディストリビューションを選ぶ、という観点で同じような感じだよね、というお話からスタート。 そして面倒を避けるためには、(ライセンスを明確にするなどして)ディストリビューションに採用されることが重要、と。
そして日本語TeXディストリビューションptexliveの説明。pTeTeX3の後継に相当。pTeX、mendex、makejvf、新しいドキュメントクラス、UTF/OTF向けのVFファイル、pdvips、pxdvi、文字エンコーディング変換のptexencライブラリなどを収録。和文フォント設定はdvipdfmx由来のupdmapで集中管理する。 ptexencの文字エンコーディング判定は、内部でフィルタ(デフォルトはnkf)を呼び出している。SJIS、EUC、JIS、UTF-8といった文字エンコーディングを使用可能。全面的にUTF-8を採用してスタイルファイルからJISを一掃した。ファイル名の文字コードは守備範囲外だが、UTF-8決め打ちでよいのでは?という意見も。
短期目標としては自力で日本語TeX環境を簡単にmakeできるようにする。中期目標は日本語TeXパッケージ製作者の作業を楽にする。長期目標はpTeX依存のパッチを上流に取り込んでもらい、最終的にptexliveを不要にする。そのためのロードマップとして、ptexliveをtexlive 2009に対応し、ptexencライブラリをCTAN登録、texliveにpTeX+ptexencの採用を働きかけていく。じつはtexliveのw32texは角藤さんがバイナリ作成しているので、ptexliveが引き取られればptex.exeもtexliveにあっさり入っちゃったりして、という妄想もある。
ダウンロードはされているようだが、動作報告がほとんどないのでちゃんと動いているのか少し不安。Wikiに動作報告を寄せてほしい。
(その後土村さんと少しお話した。Debianの日本語TeXの状況については土村さんのところにも要望がきており、ちょっと気にされているらしい。メンテナのmhattaさんとしてはptexencにアレゲパッチ風味が感じられるのと、tetexにパッチを当てる必要があるという点を懸念。ただ個人的にはptexencはUTF-8対応OSを謳うなら入れざるを得ないだろうし、tetexについてはNorbertとはお好み焼き食った仲だしJAISTの客員教授で日本にいるので日本語TeXに必要なんだからなんとか入れてくれと頼むことはできると思う。Squeezeのフリーズ近いのでどうするか早く決めたほうがいいね。)

「FinkにおけるTeXの状況の紹介」東大Finkチームの岡山さん。 東大の全キャンパスを結ぶ計算機システム(ECCS)はユーザ3万人を抱え、主に情報教育の講義用に使用されている。OSは2000〜2001年がNetBSD、2002〜2003年がDebian GNU/Linux。そして2004年からMacOS Xが約1500台採用されている。 MacOS X移行に際して一番の問題となったのは、既存の日本語対応ツール(pTeX、Ghostscript、Emacs、a2ps、……)などがMacOS Xの標準環境に不足しており、日本語環境整備、特にUTF-8エンコーディングへの対応が必要とされた。 Mac OS X向けの追加のパッケージシステムとしてはFink、MacPorts、pkgsrc、easypackages、MacOS X workshopといったものがあるが、ソースとバイナリの両方を利用できかつ国際的に開発されているFinkを選出した。
Finkによる配備のために相談員(mhattaさんや小林さんや郷田さんのいたところ?)による学生有志で東大Finkチームを結成。ECCSで使える品質、Unicodeで利用可能にするためにFinkのソフトウェアの改良やアップロードを行い、Fink本家にも還流した。Fink開発者の1割(10人ほど)が東大Finkチーム。ユーザが何も設定せずに日本語環境を使えるuser-jaパッケージを作成した。
FinkのTeXの状況。GhostscriptにはESP 7.07にOTFヒラギノ対応、縦書き、CJK、フォント埋め込み回避、ps2jpdfなどの拡張を行った。GS 8.xに上げるかとかX11不要版も作るかとかチーム的に悩む部分はあるのだが、そもそも要望がこないのでどうするかはわからない。
pTeXはXのあり/なし版を用意。土村さんのptetexベース。apt-get install ptexで環境を構築できる。UTF-8をデフォルトとしている。texlive2008もテスト中。
現在の問題としては、ドキュメントを書く人が少ないことと、ユーザからのフィードバックが少ないこと。 質疑では学生の卒業サイクルでのFinkチームやTeXの衰えを懸念する質問が。希望者が多いとは言えないが、年に何人かは現れるので廻ってはいるとのこと。また、MacOS Xを導入したものの次のリプレースで辞めている大学も多い中で東大はどうするのか?という質問には、偉い人に聞いてください(笑)だそうで。

「Vine Linux 5.0における日本語TeX環境の特徴」Project Vine/ウルスの山本さん(IRC:munepi)。 先ごろリリースされたVine LinuxのTeX部分の紹介。「Vine LinuxはTeX専用ディストリビューションではないです!」という叫び。apt-get install task-tetexを実行するだけで日本語TeX環境が揃う。
システムのUTF-8移行に伴い、ptexencによる文字エンコーディング自動認識を導入。 OpenTypeフォント用のVF、prosper/powerdot/beamerのプレゼンテーションクラス、奥村さんの最新クラスファイル集、吉永さんのリストマクロ、picture環境のdict2eなどを追加/更新。 和文フォントマップを管理するupdmapのために、OpenType版モリサワ/ヒラギノ/小塚のフォントも使えるようにするハックを追加している。
三美印刷の本田さんの投稿を受けて、fmex9.pfbの左括弧グリフがAcrobatバージョンによって脱落するという問題を解析。修正したtetex-tt2001-fmex789とtetex-bakoma-cmex789を生成し直した。
VineのTeXで目指すもの。開発者、利用者、現場の情報共有。Ubuntuくさい絵だけれども、Vineラヴ。でもウルス社内ではVine使ってない…。
(後で山本さんと少しお話。Debianのパッケージングにも興味があるということで、リクルートしてみた。)

「upTeX/upLaTeXの開発と今後」田中さん。 pTeX/pLaTeXのUnicode化した処理系。競合としては入出力だけUnicodeするinputencパッケージや、Unicodeの多機能を実装するXeTeXなどがあるが、欧文との親和性を保ちつつ、CJKだけUnicode化するような折衷案をとった。アラビア文字、インド系文字、タイ文字といったものを考えるとupTeXで世界制覇は「無理」。
各国語固有の問題への対処。和文の内部コードが16ビットでは不足していたために29ビットに拡張。和文欧文切り替えをできるようにしたことで、pTeXが部分的に阻害していた欧文処理を綺麗にこなせるようになった。ハングルは改行をスペース扱いにする必要があるため、切り替え部分を拡張。ギリシャ文字やキリル文字でいわゆる半角/全角幅が区別されない(ラテン文字は別のコードポイントが割り当てられている)が、マークアップでこれを指定できるようにしている。dvipdfmx、dvips、xdvi、dvi2ttyについてはパッチで対応。dvioutに不具合が少しある。mendexはEUC依存の部分があって難航。 文字が16ビット範囲をはみ出してしまうのでDVI命令set3を利用してU+2xxxx領域の漢字にも対応した。当時から大量の文字を扱うことを想定していたのかと思うとKnuth先生はすごい。
upTeXと競合のΩ、XeTeXなどとの比較。後方互換性、CJK対応、完成度の面で強み。認知度が低いのでがんばる。 自称pTeXの後継者として、今後はptexliveベースにし、関連ソフトウェアのupTeX対応も進めていく。 ChoさんからLuaTeXでがんばればjvmも読めるんじゃ?という提案もあったらしい。

「upLaTeXを用いた多言語文献目録の組版」京都大学の守岡さん。 upLaTeXで「東洋學文献類目」を組版するにあたっての事例。文献類目は1981年から電算化を開始しており、いろいろな言語で発表される文献、甲骨文字などの特殊な言語の固有名詞の登場に対応していかなければならない。 なお、upLaTeXでもタイ文字はパッケージを追加することで(少し呪文を書いて)サポートできている。
XEmacs CHISE拡張で多言語を文字表現できるようにしている。ないフォントについては専門の事務員が外字エディタでTrueTypeフォントを作成。入力できないものはSGMLの外部エンティティ的に表記してXEmacsにそれを内部処理させている。
電子化においては、当初はEBCDIC+JEF+独自外字を用いたLaTeXベースから始まった。2001年からUTF-8+外字とすることで、外字部分については大きく削減できた。処理系はΩ/CHISEで、フィルタを使えて柔軟ではあったものの、処理が遅く、また類目の一部だけを作業ということができなかった。 2002〜2004年はpLaTeX+OTF+CHISE。キリル文字の扱いで苦労する。2005年からupLaTeX+OTF。 Unicodeにない文字が年に数個現れてくる(二度と使われないものもある)。甲骨文字、学説の固まっていないもの、新しい資料。そういうものをタイトルに入れるのは勘弁してほしい。
(守岡さんとは京都のLinux Conference以来かな? 少しお話。XEmacsからGNU Emacsに移行するのも悪くはなさそうだけど、GNU Emacsの中の見通しが悪いのと、XEmacs CHISEで蓄積したものがあるのがねぇ、とのこと。)

「TeXを用いたWeb上での稀覯書の電子復刻」福岡大学の永田さん。 人文研究においては、厳密なテクスト批評に基づく文献研究では稀覯本の参照が不可欠だが、たいていの場合には商用に乗らずに復刻しないという問題がある(そもそも出ないから稀覯書になるともいえる)。
そこで、稀覯書のオリジナルをテキストデータベース化し、TeXのマークアップを埋め込んで、検索や自動組版などの多様なサービス提供を図る。 ドイツ旧字体で書かれた稀覯書「グリム兄弟による子供と家庭のメルヒェン集」が例。 オリジナルは稀覯書室で保存液に漬けた特別な管理下にあり、スキャナを通すと崩壊してしまうので、撮影して、人間によるテキスト化をまず行った。 TeXのマークアップは最小限だが、TeXコメント内に原書ページ番号などのメタ情報を埋め込んでおくことで、後でNamazuによる検索で有用になるよう配慮した。
旧字体にはFraktur書体が使われており、イタリックの概念がなく強調するには文字間を広げる、ウムラウトの代わりに小さなeが使われるなど、特殊なものが多い。khmというドイツ旧字体処理パッケージがある。
レイアウトや書体などを設定して内部でpdfTeXを呼び出し、組版されたPDFを返すというWebサービスを構築した。
質疑ではTEIを使わずにTeXを採用した理由。TeXのほうが美しい組版結果をすぐに得られるという点が大きなメリットという。

閉会の辞は、大会委員長であり、dvioutの作者でもある東大の大島先生。5分のはずが15分くらいお話になられていたような…(笑)。dvioutの開発の歴史にはじまり、今回の発表で見た若手開発者への喜ばしい驚き、そして大会運営スタッフや発表者への感謝にてクローズ。

このあとは懇親会だったけれども、私は夕食の準備のために皆さまにご挨拶して(森田さんのおかげで、編集を担当した「LaTeX2e辞典」著者の吉永さんともご挨拶できた!)帰路へ。 全17講演とあわただしいカンファレンスながらも、内容は充実しており、また時間も各セッションチェアがうまくコントロールして、短すぎず長すぎず飽きのこない楽しい1日を過ごすことができた。運営スタッフ、発表者、参加者には感謝の意を表したい。

なお、会場は大スクリーン、折り畳み式の机、電源、有線(無線も本来は利用できるはずなのだが、日曜日の停電に備えてシャットダウン済みだった模様)を完備し、階段状に構成されていることで後ろの席でも見やすいという非常に優れた場所だった。ほかのイベントでも可能なら使ってみたいものである。参加者は事前登録で70人。
ディストリビューションに関わる者としては、ptexlive、Fink、Vineのお話が一番興味深かった。 今回のアカデミックな雰囲気を踏襲しつつも、次回機会があれば印刷所の立場からのお話も伺ってみたい。