2005年10月12日
『カッコウはコンピュータに卵を産む』
1991年刊当時にそこそこヒットした作品なので、すでにご覧になっている方も多いだろう。著者であり主人公のクリフは、ひょんなことからローレンスバークレー研究所のコンピュータネットワークに正体不明の侵入者の痕跡を発見する。侵入者はさまざまなネットワークを経由し、パスワードの書き換えや軍事機関からの情報盗用を繰り返していた…
91年当時はおそらく「スリルに満ちた追跡劇」「ハッカーって怖い」「現実化したサイバー犯罪世界」といった評価だったと思うが、今読んでみると、
あぁ…、何もかもが皆なつかしい。
なセピア色の世界。80年代後半〜90年代前半で大学でUNIXに触れたという世代にとっては、「そうそう、telnetでguestで入れるところあったねぇ」「fingerでチェックしてtalkでお話したねぇ」と過去の思い出が甦ること受け合いだ。バークレー族の生活が見られるのも面白い。
クラックが日常と隣合わせの現在のインターネットユーザーにとっては、本書の驚くほど牧歌的な情景に驚くかもしれない。追跡のために何ヶ月も侵入させて好き勝手にいじらせるより、今すぐ回線切れ!となるだろうし、「ここには重要なファイルはないから問題ないよ」という考えに憤懣を覚えるかもしれない。「パスワードファイルが盗まれた?暗号化してるから大丈夫」に苦笑してしまうかもしれない。でも、ほんの10数年前の当時はこういうのはごく普通の考え方だったと思う。
さて、古い思い出を呼び起こす本とはいえ、現在でも通じる事実はたくさんある。管理者は雑用で手いっぱいだし、目的を持ったクラッカーは執念深いし、所轄官庁はどこも責任を取りたがらないし、パスワード設定やメンテナンスを放置しているマシン・組織は無数にあるんだ。
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