2006年08月24日
『プログラミングRuby 第2版 言語編』『プログラミングRuby 第2版 ライブラリ編』
蔵書の中でも私がもっとも頻繁に引っ張り出している『プログラミングRuby』の待望の邦訳改訂版が出版された。まずはめでたい。
今回は出版元がピアソン・エデュケーションからオーム社に変わり(これは原書がAddison-WesleyからPragmatic Bookshelfに移ったことも影響ありかな)、表紙も日本独自のウサギ本から、もともとの原書のデザインのピッケルをモチーフにしたものへと変貌を遂げている。ウサギを目印にしていると見つからないので注意。
原書は828ページと巨大すぎるため、今回の邦訳版では400ページずつの分冊となっている。言語編では前版同様のRubyのセットアップや言語体系の説明のほか、流行りのテストフレームワーク、ドキュメントフォーマット、gemなどの前版になかった説明が加えられている。ライブラリ編は、(前版の後半を占めていた)組み込みのクラスとモジュールおよび標準のライブラリのリファレンスとして構成されている。
「説明が加えられている」と述べたが、言語編にせよライブラリ編にせよ、説明するターゲットこそ同じものの、稿がほぼ一新されたのではないかと思うほどの書き直しが行われているようだ。よりわかりやすい、かつRuby1.8系の新技術を取り入れた記述に配慮されているのがわかる(Ruby1.8で追加された技術には傍注が付けられている)。
版面自体の一見の見やすさは、前版のほうがよかったかもしれない。前版の太字等幅がいいというわけではないのだが、本文に細い明朝で細いクーリエだと濃さが足りず、ちょっと目が疲れる。コードリストの前後は罫線を付けて、本文とはもう少し空けるなどすればもうちょっと見やすくなるのではないかと思う(ページ数が増えるし人手による調整を入れざるを得なくなるので頭の痛いところだが)。
また、ライブラリ編については組み込みライブラリについては詳しいものの、標準ライブラリになると途端に説明が少なくなって、「riのオンラインマニュアルを参照」程度になってしまうのは残念だった。分量が膨大になりすぎる、執筆中にもどんどん更新がなされる上にドキュメント整備が追い付いていないといった理由はあるのだろうが、良質のドキュメントがないからこそ、リファレンス書籍への期待が大きいのだ。
前版では誤りが多く不満だった索引は、今回は大きく改善されていて「使える」ものになった。分冊に対応して、もう一方の冊への参照も比較的判別しやすいよう配慮されている。原書および邦訳にあたっての編集組版ではいろいろと超絶テクニックがあったらしいので、いずれそのあたりの話も聞いてみたいものだ。
いずれにせよ、Rubyという言語を上辺だけでなくしっかりと学びたい人にとっては必携の2冊と言えよう。安価なものではないが、この書籍から得られる技術は、その値段をはるかに上回る価値を与えてくれるはずだ。なお、お金はないけれども読破する意欲と技術向上する意欲ならふんだんにあるぞという方は、ちょうど「日本のLinux情報」にて第94回ブックレビューレビュー記事執筆者を募集中なので、どしどし応募して頂きたい(『Ship It!』も募集中)。
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