2007年06月14日

『世界宗教事典』



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私自身は、宗教については勧誘や信仰の押し付けはまっぴらで、依って立つところも日本人らしいというべきか、八百万の神・アニミズム・精霊信仰に近い。ただし、宗教研究というのは私の好きな部類で、その考え方や派生・普及の流れが、過去から現在の政治的な発展や対立に接続していく過程を知るのは実に楽しいことだ。

本書は、世界の古代〜現代に至る主な宗教を原始宗教、古代宗教、仏教、ヒンズー教、儒教、道教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教というセクションに分けつつ、それぞれのグループの中での各流派の差異をまとめている。著者は慶應義塾大学講師の村上重良氏。国家神道や天皇制関連では権威的な存在の方だそうで。

宗教への接し方・思いは各個人によって異なるであろうが、本書は比較的公平な目で各流派を取り扱っており、バイアスがかかっているというほどの印象はなかった。いわゆる「カルト」や「過激集団」と呼ばれる組織には厳し目な記述もあるが、これは実際の他者の評価とも一致するところが多く、(信者の方でなければ)納得できる状態ではあろう。ブラフマン教、ベーダ教、グノーシス派、フリーメーソンなどを聞いて心拍数が上がってしまう方はすべからく読まねばならない1冊(?)。

各説明はそれほど多くないが、ポイントをおさえて記述されており、わかりやすい。これを基礎として、さらに別の文献に当たるというのが正しい読み方なのだろう。イスラエル問題、イラクやイランの背景、イスラム vs キリスト教、カトリック vs プロテスタント、カースト、といろいろな世界情勢の裏にあることが宗教の存在を知ることで見えてくる(Matzさんの行動原理も少しわかった気がする)。教科書の日本史や世界史というとどうも「〜年に〜があった。」の羅列ばかりの退屈な暗記モノというイメージがあるだろうが、本書での知識などの要素をそこに注入すれば、すべてのものがたちどころに連結し、無上の学びの喜びを感じられるはずだ。ところどころに(学問では重要きわまりないのだろうけど)トリビア的な話題が盛り込まれているのも楽しい。

なお、日本の古代〜現代(カルト含む)についての記述はほとんどないので、これは筆者による姉妹作の『日本宗教事典』を読めということだろう。買ってみるかな。



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ちなみに今はフロイト先生の『精神分析学入門』を読んでいる。認知情報専攻だったのに、フロイト先生については般教で名前を暗記しただけというダメ学生だったので反省。読んでると味わいがあっておもしろい。



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