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KeN's GNU/Linux Diary


2014年02月05日

_ [review] HP Proliant Micro Server G8

オフィスでデスクトップ兼サブサーバとして使っていたHP m9680jpが炎上した。マジで。

内部にホコリがたまって、ビデオカード付近でショートし、ライター状の小さな火が出て近くを通るUSBケーブルの皮膜が一部燃えた。幸い、ショートの瞬間に電源は落ち、火も電源を落とせばすぐに消えるし、ストレージにも影響はなかったものの、マザーボードとビデオカードはお亡くなり、今日びG33チップセットはどうよということで、C2QのCPUも4GBメモリも行くあてを失った。メモリは火に近かったので、何か不具合やショートが発生する可能性もある。

ホコリは席替えでエアコンの吹き出し口に近くなったのと、サブサーバとして上げっぱなしでなかなか電源を落としてのメンテナンスがしづらかったことが一因なので、サービスについては仮想サーバのほうに移行することにした(あと、ノズルのある掃除器を調達してもらうことにした)。

共用サービスのほうはともかく、デスクトップがないのは困るのでIRCで相談していたところ、八重樫さんから「Micro ServerいいよMicro Server、NTT-Xで即日発送だよ」というプッシュを受け、「HP Proliant MicroServer Gen8」を購入(ここで「アレ?」と思った方は正解)。8GBのメモリもセットで購入した。ストレージは今あるのを移植する。

土日を挟んだため、到着は月曜日。早速セットアップにとりかかる。付属マニュアルはあまり親切でないし、CDもわかりにくいが、勘で適当に作業。

匡体はコンパクトで、幅は前とさして変わらないが、奥行きが半分になった。このサイズはすばらしい。

ケースを開けるのはネジまわし不要で、後ろの2つのつまみを回せば開く(最初はちょっと固かった)。メモリスロット2つがすぐにあり、1つに2GBメモリが刺さっているので、これを4GBx2で交換した。

3.5ディスクのほうは4台のSATAスロットがあり、これはケースを開けずとも前面側の扉を開けて作業すればよい。スロットケースの保護を外して変わりにディスクを固定する。トルクスネジになっていて、小さなレンチが前面に用意されている。ただ取り外し/取り付けの数が多いと、この作業はかなり辛いので、トルクスドライバを持っていたほうがよい……(自宅にはあるのだが)。ホットスワップには対応しておらず、またスロット1と2だけが6G対応らしい。

さてでは起動テスト、とここで気付いた。今どきの統合チップセットだしIntelビデオでDVI端子が普通にあるんだろうと何も考えていなかったのだが、このマシン、RGBアナログ端子しかない。モニタはちゃんとRGBにも対応してるしVGAケーブルも手持ちであるので大丈夫だね、って全然大丈夫じゃないというか、Matrox G200ってうわーなつかしいわ、何枚か持ってたわーと懐古している場合じゃなかった。その後八重樫さんと話していて何か会話が食い違うなぁと思っていたら、デスクトップという要件が漏れていた(笑)。幸いExpress x16がロープロファイルで1スロット用意されているので、後付けでビデオカードを取り付けることにする。

後述のiLOなどもあるため、起動からセルフテストが終わるまではかなり長く、ファンもそれなりにうるさい。騒音は20dBAレベルということだけど、横にあると、最低のファン回転になってもそれなりに音はする。「静か」モードの空気清浄機が動いているのに近い感覚だ。

最初は取り付けたディスクが認識されなかったが、BIOS設定でSATAコントローラの設定をRAIDからLegacyに変更することで認識された。起動してしまえば、ディスク内のOSは当然Debianなのでたいした問題はない。ACPIのエラーがいくつか出る。画面は悲惨なものの、別マシンからリモートログインするなどして最低限必要な作業などはおおむね達成できた。Pentium G2020TでVirtualBoxで起動している仮想マシンもキビキビ動く。

追加注文したビデオカードNVIDIA GT520が翌日到着し、差し込み。Expressスロットの操作もワンタッチで簡単だ。このマシンはコンパクトな分、拡張性もスペースも余分なケーブルもまったくないので、外部電源はない、厚みがあるのは干渉する、といった事情があり、ファンレスにも心ひかれるものはあったが、薄くて静音性が高くGNOME3程度の用途には十分すぎる性能のこのファン付きビデオカードにした。慣れたデスクトップがようやくこれで戻ってきた。ただ、何かBIOSで設定する必要があるのか、現状ではBIOS画面がまだDVIのほうに行ってくれていない。BIOSに入るのもPS/2-USB変換経由のキーボードからはうまくできないので、とりあえず今のところは気にしないことにした(iLO使えばいいし)。このマシンにはサウンドもない。取り付けたビデオカードにあるHDMIから鳴らすのも一手だが、もともとUSB Audioを持っていたのでこれをそのまま使うことにした。

ちょっと予定外だったのは、旧マシンから取り出したDVDドライブを取り付けようと思ったのが、専用のスリムタイプのものでないと配置できなかったこと。これはUSBタイプのドライブを適当に社内で融通することにした。滅多に使わないし。

カジュアルなデスクトップとして使うには、その設計から当たり前ではあるがいろいろ不足するのでまったく不向き。USBの口も裏4+前2だけ、ACPIも最低限で、frequency設定もサスペンドもできない。ビデオもサウンドもメディアスロットも後付けでなんとかする必要がある。Debianデスクトップで仕事用だから実用レベルを保てているというところだ。

逆に、常時起動のLinuxサーバとして見ると、これはすごくいいマシンだ。ハードウェア構成は素直で特殊なドライバ不要、電力消費は少なめ、ホットプラグができないにしてもハードディスクの取り付けや交換は簡単(ハードウェアRAID5は標準ではできない。エアフロー的にも4つ稼働はちょっと怖い気もする……)、2口のEtherポート。EtherのチップはBroadcomのBCM5720で、Linuxドライバとしてはtg3が使われる。

そして、iLO。これは本当に素晴しい。iLOはマシンの中にある別の小さなマシンのようなもので、iLO専用のEtherポート経由でネットワークアクセスできる。高度な一部の機能は有料ライセンスだが、そのまま使える機能だけでも、Webブラウザ上でデバイス状態や温度の監視、リブートやシャットダウン、そして仮想コンソールまでできる。SSHでログインしてコマンドで管理することも可能。以前のkmuto.jpマシンのときも思ったけど、iLO万歳。

ちょっと予想外のこともあれば、良い面もある、そんな驚きのマシン。さてどのくらい長く使えるかな。次のモデルではビデオはもうちょっとだけマシになっているといいね。