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KeN's GNU/Linux Diary


2016年08月08日

_ [travel] ロシア旅行(1)

夏休みの行き先はいろいろ悩んでたのだけど、「暑くないほうがいい」「ちょっと一味違うところがいい」という観点で、7月中旬にロシアのモスクワとサンクトペテルブルクに行ってきた。

近くて遠い国、ロシア。英語が通じないとか、クレカのスキミングがとか、ネオナチがとか、チェチェンやウクライナがとか、そもそもビザだのバウチャー制度が厳格で一般人には無理ーとか、諸々あって、大手のツアーはほとんどないし、専門社のツアーもやたらと脅かしてくる雰囲気。

でも、実際に行ってみたら、観光にはとても良いところだった。何より乳製品と茸が悶絶するほど美味。ネットもSIMも普通に使えるし、交通網も便利。無愛想と言われていた人も、観光地のせいか夏のせいか皆親切な感じ。

ロシア旅行で一番おどろおどろしく思われるのはたぶんバウチャーとビザだろうけど、飛行機とホテルを決めているなら何の問題もなかった。ネットで、何のやましいところもない正規のバウチャーを購入できたし、平日朝一で大使館(東京だと麻布)に行ければ2週間後に無料でビザを受け取れる。

日程確定・航空券(JAL PEX)確保→booking.comでホテルを確保→バウチャー(旅程計画書)取得→ビザ申請→ビザ受け取り→旅行OK という流れ。

バウチャーは、ホテルに勧められたiVisaというサイトで、1人あたり22USDでクレジットカードで購入した(パスポート情報のほかは、日程と宿泊のホテルを入力するだけ)。ロシア連邦外務省の電子申請サイトで入力し、申請書を印刷。指定の顔写真を貼り付け、申請のために大使館に行く。午前中しか申請を受け付けておらず、ギリギリだと窓口が閉まっちゃうこともあるみたい。ロシアのカレンダーに従っているらしいので、日本の休日なら旅行代理店も少なかろうと朝一番で行ったら簡単に申請は終わった。

ちゃんとビザが取得できているかはちょっとドキドキしていたけれども、2週間後の受け取りもあっさりと完了(2週間後ならいつでもいい)。申請時は整理券が必要だけど、受け取りは引換証だけですぐに済むし、特に本人確認らしいものもなかった(申請は2人で行って受け取りは1人で行ってきた)。ちゃんとビザがパスポートに貼り付けられていた。やったね。


ということで、成田。朝早かったので、まずは朝食。カレー屋に入ったら朝はカツカレーしかないらしい……。といいつつ、しっかり2人ともチキンカツカレーをがっつり食った。ゲートは75。遠い。

珍しく出国が混んでいたので、自動化ゲートですいすいをしてみた。モスクワの空港の両替レートは悪いらしいので、同程度に悪い気もするけどTravelexで少額を両替。モスクワのホテル内に安全かつ大きめの額を引き出せるATMがあるそうなので、残りはそちらで引き出すことにする。


JAL 787。チケットはいつものようにエコノミーでオンラインチェックインも済ませていたのだけれど、オーバーブッキングという理由でプレミアムエコノミーにアップグレード。これは僥倖。特に上級会員というわけでもないのだけど、何があったのだろう。席の幅があるのはありがたい。


せっかくなのでシャンパンをいただく。Nattoはだいぶ怪しい……というかそもそも日本の人でも納豆は評価が割れるのに、それをスナックにするのはどうなのか。お昼は塩おでんを選択。おいしかった。


到着前にサンドイッチ。卵が甘いのは微妙。フローズンヨーグルトはとてもおいしい。

機内では少し寝ようとしてみたのだけれども、飛行機では相変わらず寝られない。『ズートピア』『アリージェント』を観賞。漫画は『重版出来』『キングダム』。

11時間ほどでモスクワ到着。ヨーロッパとしてはかなり近いね。

さて、入国審査がロシアの洗礼だった。

窓口はいくつもあるのだが、たいへんな混雑というかまったく整理されている感じがない。どこに並ぶのかすらよくわからないし、係員もロシア語でたまに叫んでいるだけ。

「forignerはあっち行け」と言われるリスクはありつつも空いている列に並んだら、なんとか30分ほどで通れた。質問はなく、パスポートを入念にチェックし、ビザ情報に基づくプリントアウトを示されてサインせよ、で終わり。

当然荷物もとっくに出ていた。税関は特にひっかかることもなく。

国際線で出たところは何もないので、2Fに上がり、スマフォ用のSIMを売っているところを探す。量販店もあったが、その手前で「MTS」の小さなブースがあり、英語で呼びかけられて説明を聞く。悪くなかったのでここで購入することに。モスクワでもサンクトでも使える、データ2GB、互いの電話無料、600ルーブル/枚。SIMを手持ちのNexus 5に刺して5分ほど待ち、店員がアクティベーション、再起動とAPNを設定してデータを利用できるようになった。

通話は結局よくわからないままだったけれども(番号入れてもなんか通話できない旨のメッセージがロシア語で流れる)、データ通信は超便利。旅行中はマップや検索のほか、それぞれ別行動のときとか見失ったときとかにLINEでちょくちょくやりとりをしていた。


空港からAeroExpressという特急でモスクワ市内へ。チケットは事前にオンラインで購入済み(420ルーブル/人)。乗車はQRコードをぴっとやるだけ。30分間隔で走っていて、新幹線のように車内販売もくる。

45分でモスクワ市内南部のパヴェレツカヤ駅着。お昼どきのように明るいが、これで午後6時くらい。


地下鉄で移動する。「トロイカカード」というモスクワのスイカみたいなのを購入。地下鉄はスリなどが多いらしいので、少し用心しながら乗る。窓口では英語はほぼ通じないので、紙に「Тро́йка、CHARGE 300、×2」のように紙に書いて買った。


宿はメトロポール。クレムリンやボリショイ劇場にも近い由緒と歴史のあるホテル。 ロビーで生ピアノを聞きながらのパーティーみたいなのが開催されていた。

フロントなどは立派だし、スタッフも悪くはないけど、部屋の内装は正直、求むリノベーション。壁も薄い。レジストレーション(在留登録)は特に伝えられなかったけど、一般的なチェックイン手続きだけで終わったような。


猛烈に眠いけれども、夕食を探しに外へ。 レストランが集まるカメルスキー横丁……って確かに店はあるにはあるけど、どうもピンとこない店しかない。ロシア人が外食しにくるところなので、ロシア料理よりもイタリアンとかスシバーとかそういうのが多いのは当然か。それに、ロシアの正餐は昼食のためか、夜の時間だとお酒を飲んでる人たちばかりで勘も働かない。


結局逆戻りして、乳牛印のチェーン店MyMy(ムームー)へ。いわば、ロシアのファミレス。カフェテリア形式で指差して頼めるのはわかりやすい? 白身魚のフライ、サラダ、スープ、パン。ただ、味もファミレス風だった……。食べられないわけではないけど、リピはしない。


ここの地下からシベリアが見渡せる、ルビヤンカのKGB。今はFSB(連邦保安局)。ジェルジンスキーの銅像は打ち壊されてもうない。


さすが中心街、高級ブランドショップが並んでる。モスクワだと白夜というほどではないので、23時頃にはライトアップも普通に見ることができた。


朝。自分的な「最優先ターゲット」である軍事博物館へ向かう。

ホテルの食事は高いので、スーパーでブリトー、こっちだと「ブリヌイ」というのを買う。サーモンと、肉のミックス。どちらもけっこうおいしい。


モスクワの地下鉄は市内を網羅していて、とても便利。核戦争時のシェルターを想定していたという噂で、地下深くまで高速なエスカレータで下っていく。駅内は、「地下宮殿」と称されるほど豪奢な装飾が施されている。


ドストエフスカヤ駅から博物館へ徒歩。中心街からさほど離れていないのに、緑多く、のんびりした雰囲気。


ソ連潜水艦の父、かな。


キマシタワー! 入場料は1人300ルーブル。撮影は自由。


レーニン像がお出迎え。ソ連・ロシアのライフルとかRPGとかがたくさん。Su-25の頭もある。

走る台所。パンも焼けるしボルシチも作れます。


ICBMのサイロっぽい。


シュールなカエル。


攻撃機やヘリに載せるロケットポッド。1つひとつにロケット花火みたいな爆弾が入ってて、地上兵力を薙ぎ払う。


カラシニコフ御大の珠玉の作品集。


もちろんスターリン展示もある。


対独戦がソビエトの人民をまとめるアイデンティティになってたんだろうなぁと感じる。日本絡みのものは見当たらなかった。日ソ中立条約とは。


屋外展示には航空機や戦車、ミサイルなどがいっぱい並んでる。これは大興奮ですね。ふおー。パートナーには一回り終わるまでベンチで寝ててもらうことに(笑)。


みんな大好きMIL-24ハインド。実際は鈍重だったという話も。エンジンとカメラのところは塞がれてる。


MiG-19ファーマーとMiG-21フィッシュベッド。ダサかっこいい系。


MiG-23フロッガー。可変翼なんだけど、F-14と違って手作業操作でいまいちだったとか(空母に載せられるかがんばったこともあるらしい)。横から見ても可動部はよくわからない。


爆撃機のIL-28ビーグルかな。後部に機関砲がある。北朝鮮ではまだ戦術爆撃機として使ってるらしい、まじか。


ぬこ型攻撃機。


MiG-29ファルクラムどのー。フォルムが優雅。大きさは確かにこぶりめ。足はごっつい。


あなたに会うためにここまで来ました。Su-27フランカー。

でけぇ。広い国土と重武装の要件でかなり大型になったとはいえ、実機はこんなに大きかったのか。特徴的な長いノーズは本当に長い(普通に触わってストレーキまですりすりできる)。横から見るとてもスリム。

これを見られただけで今回のロシア旅行はおおむね満足達成(いや、Su-30とか33とかT-50とかも見たいけど……MAKS行きたいなぁ)。残念ながら後ろには回れなかった。

後ろのほうにはMiG-25フォックスバットも見える。


MiG-29とSu-27揃い踏み。


MiG-31フォックスハウンド、Su-25フロッグフット。


地上・海上兵器は詳しくないけど、戦車、兵員輸送車、高射砲、中距離ミサイル、対空機銃、対艦砲、機雷などなどがずらり。写真はいっぱい撮影した。


博物館まわりは何もないので、ノヴォスロポーツカヤ駅方向へ少し歩き、ホテル内のレストラン495。パン、シーフードのスープ、ビーフストロガノフ。特にストロガノフの茸がびっくりするくらいおいしい。マッシュドポテトと合わせるのもいいのか。サワークリームは酸味は感じず、かなり生クリームに近い。


トラムも走る下町っぽい雰囲気。日曜市みたいな市も立っていた。


モスクワは、地下鉄の入口を見つけるのが大変。「地下鉄はあっち」みたいな標識はまったくなくて、実際の出入口にある小さなMマークだけが目印。


ノヴォロスポーツカヤ、プロスペクトミーラ、コムソモーリスカヤと地下鉄駅巡りをしながらいったん宿に戻る。コムソモーリスカヤ駅が特にすごい。中国人の地下鉄駅観光ツアーみたいな集団もいた。


ホテルまわりを含め、モスクワは道路工事だらけ。道路が通行止めだったり道が狭かったりの上、超ほこりっぽい。冬できないから全部この時期にやるのかねぇ。


エリセーエフ商店という歴史ある食材雑貨店を見物。今は成城石井みたいな高級スーパー(お値段もなかなかお高い)。内装はたしかに食材店とは思えぬ豪華さだったけど、シャンデリアのLEDライトがチラチラ点滅してるのが目に痛い。

近くのストレシニコフ横丁は、カメルゲルスキー通り同様に、夏のお祭りロードになっている。イベントやってたり、屋台が出てたり。そして目がイっちゃってるモスクワのゆるキャラ……。


夕食は、LavkaLavkaという、オーガニックな野菜を使った料理をウリにしてるレストラン。

ビーツとリコッタチーズのサラダは、食べるとビーツの歯応えの後に甘味がじわじわっと感じられる。クルミとチーズの風味とあいまってこれは絶品。

白ワインも普通においしい。パートナーのスパイスハニーティーは怪しかった。

肉はアヒルのコンフィ。下に雑穀がリゾットのように敷かれている。とろとろでうまい。

ペリメニ、つまり水餃子は、スメタナ(サワークリーム)をつけながら食べる。汁をすするとかつお節と醤油の風味を感じるのだけれども、店員さんには「いや、牛と豚からのスープだよ?」と言われた。スメタナと合わせるのが良い。

大いに満足してお会計を頼んだら、お口直しに赤い液体が。果物ジュースかな、と一口飲んだらモルスだけじゃなくてウォッカも入っててビックリ。飲める身としては嬉しい。

(2)へ続く。