2018年07月23日
_ [travel] バルカン旅行 (1)ベオグラード
夏休みの旅先として、セルビアのベオグラード、クロアチアのドヴロブニクを回ってきた。
もともとはパートナーの希望で「生のバルカンブラスを聞きたい!」ということだったのだが、実は現地ではそんなに流行ってなくて、活動しているアーティストはほぼ海外、集まるのは8月にセルビアのグチャ村で開催されるグチャフェスティバルくらいとのことで、残念ながら生バルカンブラスに立ち会うことはできずじまい。
しかし、旧ユーゴスラビアの複雑さを改めて知るとともに、この地域の豚肉と乳製品の美味さと、海の素晴しさを堪能できた旅でもあった。
成田。ほぼ最終の夜便のため、チェックイン後のゴハンどころもほぼ閉店モードで、ギリギリ遅くまでやっていた「おぼんでごはん」で夕食。
最近この遠いゲートエリアに行くことが多いな。カタール航空でまずはドーハまで飛ぶ。3-4-3のB777、設備は整っているんだが足元が窮屈で足が痛くなってしまい、うまく眠れなかった。『メイズランナー3』はひどい話だった。『ピーターラビット』は別の意味でひどい話だった。
夕食はうどんが出たけれども空港で取ったのでスキップ。朝食はおかゆが出てわりとよい味。
早朝のドーハ着。バス移動になってしまったのだが、降りた途端にものすごい湿気に見舞われ、カメラもパートナーの眼鏡も結露で真っ白に。海に囲まれていて昼間40度超えなので、朝方に全部霧になって戻ってくるというわけか……。
ドーハでお迎えするのは狂気の表情の熊。ヤバい。
ドーハ空港はとても綺麗かつ設計が凝っていて面白い。ターミナル移動のための自動運行の列車が用意されているのはよくあることだが、空港から外に出ることなく完全に建物内で完結して走るのは初めて見た。アトラクションのようで楽しい。
プラパスのラウンジ。空港中央に位置するので、遠いゲートだとわりと辛い、というか実際遠くてあまり長居もできなかった。切り替え時間帯で食事の種類も少ないので、ディルマーのおいしい紅茶と、豆のスープをいただく程度に。ただ、シャワーを浴びることができたので、だいぶさっぱりできた。
予想どおり、ゲートからはバス移動。朝日が出てきてじわじわ暑くなっている(32度。ここから42度まで上がるらしい)。A320は3-3配列で狭く、何もないのでぼんやり寝るしかない。朝食のオムレツと鶏団子はわりとおいしかった。が、狭すぎてトイレに行くのもタイミングが難しい。
4時間ほどでベオグラード到着。入国は特に記入するものもなく、さして並ぶこともなくてすんなり終わり。
というところで突然電話が鳴り、宿泊予定のアパートメントのオーナーから「送迎行けなくなっちゃったんで、タクシーで来てね。20ユーロ内でいけるはずだから!」という連絡。マジか。
荷物エリアにSIMが売っていたけれども、10ユーロはだいぶお高いので、市内で入手することにする。ATMでお金を引き出し、空港にはほかにSIMを買えそうなところは見当たらなかったので、タクシーカウンターでバウチャーを買って(1,800ディナール)アパートへ向かう。セルビアディナールはおおむね1ディナール1円換算でいけるので、物価の換算はしやすい。
40分ほどでベオグラード中心部のアパートに到着し、オーナーに電話して合流。「エレベータの照明が切れちゃってて……」とだいぶオンボロの真っ暗なエレベータの箱でガタピシ上がるのはなかなかのスリルがある。
アパートメントDositejeva13。広い2ベッドルームで、最上階、バルコニーからの市街の眺めは良い感じ。共和国広場などの中心から徒歩わずかながら、大通りに面しておらず近くにうるさいナイトクラブもないので静かめ、という好立地。「他の居住者はリタイヤした老人や子持ち家族だから騒ぐな、特にこの時間帯は絶対に静かにせよ」という注意書きがあった。
設備の細部のほうはあまり大事にメンテナンスされているとは言い難く、家具は全部IKEAだったり、お湯や水圧が弱かったり、時計が止まっていたり(電池切れではなくて針が歪んでいた)、ガスでもIHでもなく電熱器だったり、皿が汚いままだったり、とマイナスポイントは多め。ただ宿泊費は安かったので、値段なりということだな。
昼食に出ようとしたら天気雨が降ってきた。遠くに見えるは北のドナウ川。
雨が止んだのでガタピシエレベータに乗って出発。近くのチェバピ屋DRAMA Cevapiに行ってみる。Cevapiはケバブが派生したものでスティック状になっている。バルカンでポピュラーなご飯。ここでは牛肉100%がウリだった。生クリームのカイマク、パプリカペーストのアイバルを付け合わせに。ただ、ここのアイバルはネギが入っていてちょっと怪しい。
スペシャルバーガーのほうはハンバーグのほうを想定していたのだが、ビーフシチューのように柔らかく煮込まれた肉だった。
SIMを探しつつベオグラードの街歩き。共和国広場を中心に賑っている。スマートフォンショップを見つけて聞いてみたところ、結局SIMはその辺のキオスクで買えばいい、らしい。キオスクでmtsのSIMを1枚300ディナールで購入した。安い……!
設定は簡単で、刺した後に「*100#」に電話して、表示されるメニューからBONUSを選べばいいだけ(しかしメニューがセルビア語なのでわからず、最初苦戦)。ボーナスの日数は忘れたけれども、我々の滞在中はずっとデータ無料でSMSも送れて便利に使えた。速度は3G。
夕食はスーパーで買ってきたもので簡単に。ミートボールは鶏団子のアイバルソースで、日本のお弁当の味がする。サラダはエンサラータルサ(マヨネーズあえのジャガイモサラダ)。どちらもまぁまぁの味。
スイカはちょっと水気が少なくパサつき気味、モモはまだ熟してなくて固かった。この日は移動疲れで寝落ち。
朝ご飯。電熱器は熱くなる/冷えるの時間差が大きくて扱いがなかなか難しい。ベーコン切り落とし(たっぷり入って218ディナール!)を炒め、ミニトマトを加えて。脂がこってりしてうまい。だいぶ固いのでもう少し刻みたかったのだが、包丁が完全なナマクラで大変だった。今度からキッチンばさみを荷物に入れていこうと思った。
サラダはワイルドルッコラ。だいぶ辛い。オイルよりマヨネーズソースをかけたほうがよかったか。
生クリームのカイマクは、パッケージを見る限りではまさかの乳脂肪分70%!?(別の数字かもだが……) 水気の少ないバニラアイスのようで、少し塩気があり、パンにつけてもよし、肉につけてもよし、サラダにつけてもよし、と万能。これはうまい。
雨上がりのお出かけ。7月上旬のベオグラードは毎日雨がよく降って、晴れれば30度以上になるところが20度ちょいしか上がらず、涼しいというよりもむしろ寒いほど。
レストランが並ぶスカダルリヤ通り。朝なのでまだ人は少ない。夜になったら賑やかになりそうだな、という雰囲気はある。
3日間の公共交通パスKartu za tri danaをキオスクで購入。1枚700ディナールでトラム、バス、トロリーバスに乗り放題となる。たまに走っているミニバンは私営なので駄目らしい。
乗り放題でも、トラムやバスの機械にはいちおうピッと当てる必要があり、たまに機械の調子が悪くて前なり後ろなりの別の機械で再チャレンジが必要なことも。検札はそれなりにやってくるらしく、実際滞在中に1回遭遇した。キセルと見なされたら外国人でも容赦なく罰金とか。
地上をゆっくり走る・停車場所が決まっている・市民が使っているという特徴を持つトラムは、その街の生活を知るのに最高の乗り物。
やってきたのはニコラ・テスラ博物館。セルビアが生んだ天才発明家で、交流電気、無線、蛍光灯など数々の発明を持ち、100ディナールにも刷られている。
自由見学かと思ったら時間固定のツアーのみだそうで、ほかの人たちと一緒に外でしばし待機。イランからの大人数の家族旅行者に誘われて、割引グループ料金になった(500→300)。
一番の目玉のテスラコイル放電は故障中とのことで残念だったけれども、ほかにもいろいろなデモンストレーションや体験があり、なかなか面白い。ガイドさんが早口で、内容はほとんど追えず想像で補うしかない。最初のムービーを観る場所の冷房が強くて寒かった。
ツアーの後はテスラの家族やテスラ電灯社のゆかりの品の本物だったりレプリカだったりを眺める。さほど大きな展示スペースもないので、あくまでもツアーが中心。そして驚くことにトイレがない。
近くの噴水がアクリル板で囲まれていて奇妙に思っていたのだが、もしかしてトイレにされちゃったのでブチ切れたんだろうか……。
ごはんを探してスラヴィヤ広場周辺をウロウロした末、地元の客が多そうな、よい雰囲気のお店RESTAURANT Slavijaを発見。
小さなカップに入っているのはラキヤ酒。果実蒸留酒で、アルコール度は50%以上の爆弾、イタリアでグラッパと呼ばれるやつ。頼んだのは洋ナシのラキヤ。最初は近くに置いてあるだけでアルコール臭が強烈だが、段々となじんできて、少し梅酒のようで香りよく、おいしい(ただし、本当にチビチビしか飲めない)。
豚肉とトマト、パプリカの煮込みは、塩豚とパプリカをグリルしてから煮込んでいるのかな。豚の旨味と塩味、パプリカの甘味が絶品。マッシュルームのポタージュも、さまざまなキノコのダシとたっぷりの生クリームが絶妙だった。
全面喫煙なのが唯一難点だけれども、そもそもセルビアは喫煙天国で、男女・室内外問わず喫煙しまくっている。JTも日本はもう市場として広がりがないので、今後の市場としてアプローチをかけているらしいとか。
おいしいものを食べてハッピー元気になったので、トラムに乗り、ショッピングモールUsice Shopping Centerへ。今後の電子タバコ市場を獲らんとiQOSが特設スポットを出していた。期待どおり地下には大きなスーパーが入っていたので、食材などを買い込み。
バスで共和国広場に戻ってInformationで地図を貰おうとするが、示された場所にInformationは見当たらず……。見つけたときには時間も遅く、すでにクローズだった。だいぶ疲れたのと昼が遅めかつ多かったので、夕食はなしに。ワールドカップのクロアチア-ロシア戦の前半1-1まで見て寝る。
(その後2-2までもつれた末、PK戦でクロアチアが進出したので、ドヴロブニクでは準決勝の雰囲気に立ち会えることになることが決定した。うひょー)
バルカン旅行 (2)ベオグラードへ続く。