HTMLタグのついたテキストファイルは一般的にHTMLファイルと呼んでいますが、このファイルをハイパーテキストとして生かすためには、タグに応じてそれを表現するソフトウェアが必要です。これが皆さんにもおなじみのブラウザです。
CERNが最初に作成したブラウザは簡素なテキスト表現のものでしたが、NCSAによって作成されたMosaic(モジーク)(図1)は、タグで示されるフォント情報やテキスト中(インライン)の画像も表現し、これが多くのユーザーの心をつかんで第一次Webブームが起きました。
このブームが一段落した後、Mosaicの開発チームの多くが参加して作ったNetscape Communications社(以降Netscape社)から、Netscape Navigator、通称Mozilla3(モジラ)が登場します。なじみやすいインターフェイスと美しい画面、それに同社によって独自に拡張されたタグ、といった特徴で一躍ブラウザ界のデファクトスタンダードとなります。この第二次Webブームで、「インターネット=WWW=ブラウザ」という現在まで引きずっている誤った図式ができあがりました。
Netscape Navigatorは、UNIX、Windows、MacintoshといったほとんどすべてのOSにそれぞれ対応したものが提供されました。商品ですが、教育利用や試用ということであれば無料で使用することができました。現在では商用利用であっても無料で使用することができるようになっています。また、メーラーやHTMLエディタ4などを統合したNetscape Communicator(図2)が現在では提供されています。
ブラウザ市場はおろか、インターネット市場に完全に出遅れていたのがWindowsを販売しているMicrosoft社です。インターネットがWWWの興隆につれて「金のなる木」へと変容しつつあるのに気付いた同社は、遅ればせながらブラウザInternet Explorer(図3)を無料で提供しました。インターネットに関するこれまでの理解の低さからさまざまなセキュリティホールなどを抱えてしまうなど、問題は山積みですが、バージョンアップを重ねるにつれ徐々に使い良くなってきています。
これらのブラウザのようにグラフィック主体のものは人気がありますが、特にUNIXでは文字端末ベースのブラウザもいくつか存在します。
Lynx(図4)は、カンザス大で作成された有名なテキストブラウザです。日本語化がインターネット界で有名なあさだたくや氏によって行われたことで、日本でも多くのユーザーが存在します5。当初は簡素な機能のブラウザでしたが、現在では暗号化やカラーリングなど機能充実が図られています6。
このほか、テキストブラウザとして、w3m(図5)や、Emacs上で動作するw3モード(図6)などもあります。
本ドキュメントでは、UNIX版Netscape CommunicatorとLynxで見たときのイメージを併記します。